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2004年07月14日
第6話 「自己測定」 テスト

牧田医師が真っ先に勧めてくれたのが「自己測定」だった。
自己測定というと、針で指先を突いて血を絞り出し、検査紙の上に載せて測定する姿が思い浮かぶ。指先というのは、神経が集中している場所だ。そこにだれが好きこのんで針など突き刺すものか。
勝手な想定とは裏腹に、牧田医師が取り出してきたのは、最新式とかいう、腕で測定できる器械だった。「何しろ、アメリカ人は不器用ですからね。こういう器械はすべて自動化されているんですよ」との説明。
確かに、その使用方法の説明を実地で受けてみると、痛くない。いじましくも見える、指先の血を絞り出す測定の姿に比べても背筋を伸ばしている分、形がいいのはいうまでもない。
「ともかく、自分の血糖値をきちんと把握することから始めましょう。きちんと把握すれば、対策も立てやすくなりますから」と牧田医師。内心は少々面倒臭いことをいうものと思いつつも、そこは面従腹背。「ではやって見ます」
一緒に手渡されたのは血糖値の自己測定結果を記録する、カーボン用紙のついた手帳だった。それによると、「朝食前、後、昼食前、後、夕食前、後、就寝前」の5回測定するように指示が出ている。
「一日に5度も針を刺していたのでは、腕が腫れ上がっちゃうし、嫌なこった」とここでまた反抗しつつ、一式を受け取って帰宅した。
測り始めたころの数値を引き写してみよう。166、148、132、161、168という具合。いずれも朝食前の空腹時血糖値、というものだ。
でも指示通りに1日5回も測定はしなかったが、そんなに苦にはならない作業だった。身の回りを見回せば、糖尿病の同病相憐れむ仲間はいる訳で、その人たちに、この測定器を見せると、「これなら負担にならないよ」との声。実際に計測の体験を勧めるとこういう答えが戻ってきた。
もう一つ。手帳にボールペンでいちいち記入するのが億劫になっていたので、そこは表計算ソフトを利用して、記録を残すことにした。これなら、何をその食事で食べたのか、あるいは万歩計を付けているのなら、その日は何歩歩いたのか、酒は飲んだのか、勤務は何だったのか、などなど、自分に合わせた事項を記入することもできる。人間、ラジオ体操の皆勤賞と一緒で、こういう数字を記入することに凝り出すと、測定も結構続くものだ。
この表を作り始めて、何を食べたのかを書くことにしたが、食べた品目をいちいち書くことはしなかった。食べた場所だけを書いた。というのは、人間の中で、「どこで」だけを記憶の手がかりに残しておけば、結構、何をだれと食べたかということは思い出すからだ。必要以上には手間を掛けない。長続きさせるための秘訣でもある。
投稿者 ageclinic : 2004年07月14日 23:41