AGE 内科クリニック
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2005年01月18日

糖尿病と糖尿病合併症は違います!

 「目が見えなくなったりしませんか」「知人が糖尿で血液透析をしているのですが私は大丈夫でしょうか」。

 糖尿病とはじめて言われた方がまず不安を感じるのはこんなことでしょう。このような方への説明にはまず、糖尿病と糖尿病合併症の違いをはっきり理解してもらう必要があります。実は医学的にはこの2つは全く異なっています。たとえば、医師はカルテに糖尿病と糖尿病合併症を異なった病名として記載しています。

 まず糖尿病ですが、これは一口で言うと血液中の血糖値が高くなった病気です。その判定はまことに簡単で朝食を取らずに計った血糖値が110(mg/dl)以下だと正常、126以上だと糖尿病となります。たった20位の値の差で糖尿病の烙印を押されるのに強い抵抗を感じる方も多いようです。ましてなんの自覚症状がなければ「こんなに元気なのにどうしてわたしが?」と思われる割り切れないお気持ちにきっとなるでしょう。でも、本当は症状に気が付かないだけなのかもしれませんよ。

 たとえば高血糖では密かに脳神経系に影響が及んでおり、食後の思考力の低下、疲れやすさ、眠気などが起こっています。「食べた後眠かったのが、糖尿の薬を飲んでからすっかり取れた」などという声をよく聞きます。また免疫力が大きく低下しますから、風邪を引きやすくなったり、傷が治らなかったり、ひどい水虫に悩まされることがしばしば起こります。50代の女性の方で、皮膚の吹き出物がひどくどんなに高い化粧品を使っても直らない方がおりました。皮膚科の先生から、ひょっとしたら糖尿かも知れないねと言われ調べたらその通り。糖尿病に治療とともに皮膚はすっかり完治した例もあります。ですから血糖が高ければ本当に元気だとは言えない状態なのですよ。

 一方糖尿病合併症とは糖尿病になった後、5年以上経ってから徐々に起こってくる余病のことで目、神経、腎臓に起こってきます。例えば目では、始めすこし目がかすむくらいの軽い症状がですが、進むとある日突然まったくものが見えなくなるということが起きます。次に神経の障害では、両方の手足がジンジンしびれたり、ぴりぴりした痛みが起こります。とくに夜になるとひどくなり眠れなくなるほどになります。こむら返りや男性の性機能低下もその症状のひとつです。立ちくらみは起き上がるとき血圧が急に下がるために起きますがこれも合併症で起きてきます。注意しなければならないのは、この神経障害が進むとこの手足のシビレや痛みがまるで何事もなかったように消えてしまうことです。これをよくなったと誤解する方がいますが、実際は神経が全く働かなくなってしまうほど悪化したためなんです。

 最後の腎臓の症状はまず足や顔のむくみから始まります。このむくみは段々悪化して、それに伴い尿がだんだん出なくなります。尿が出なければ体の老廃物が毒素(昔は尿毒といいました)となり溜まってしまうのでこれを取り除くため最終的に血液透析が必要になります。

 従って糖尿病と糖尿病合併症の区別は、まず糖尿病が起き、その一部の人に続発して起こってくる余病が糖尿病合併症ということになります。初めは糖尿病だけ、後でこれをこじらせた人にだけ糖尿病合併症が起きると考えてもよいでしょう。したがって糖尿病だけなら恐れることはありません。むしろこいつを悪者だなどと毛嫌いせずに、体に気をつけるための番人と思って上手に付き合ってゆきましょう。つい最近「糖尿といわれショックだったが、食事を徹底したらこんなにやせた」と嬉しそうにズボンの弛みを見せてくれた方などは、本当に付き合い上手だと思いました。

 でも不幸にして糖尿病合併症の病名が付いてしまった人も決して悲観する必要はありませんよ。最近は目の手術の技術が飛躍的によくなり、麻酔を上手につかった痛くないやり方で見えなくなった目を助けることが出来るようになりました。また血液透析も技術が向上し、短時間でしかも回数も減ってきています。この透析を受けていればほぼ普通の日常生活が送れます。よく血糖値の数字の値ばかりを気にして、いつも落ち込んでいる方がいらっしゃいますが本末転倒ですね。大事なのは決して数字ではなく合併症を起こさないこと、進めないことです。ですから、糖尿病の方はまず、自分は合併症があるのか、あるならどの合併症で程度はどの位なのかを必ず確認してください。それが判れば必ずいい治療法が見つかるはずです。

投稿者 ageclinic : 2005年01月18日 22:46