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2005年01月18日
健診で引っ掛かった方 −糖尿病一歩手前が危ない−
糖尿病の専門医としていつも残念に思うのは、いつ糖尿病と医者に言われましたかとお尋ねしてもほとんどの患者さんがはっきり答えられないということです。
たとえば「3年前、糖尿病の気があるといわれたが、糖尿病だとははっきり言われていない」と聞いて調べると、3年前には立派な糖尿病だったなどということが多いのです。まして、いつから境界型になったかを知っている方はほとんどいません。糖尿病と正常のさかい目の血糖値の人を医学界では境界型と呼びますが、まずこれになった後さらに進行し糖尿病になってしまうわけです。会社の健診や住民健診で尿糖や血糖値で一度でも引っかかった人は大体、糖尿病かこの境界型のいずれかと考えてよいでしょう。
ちょっと気になるけれど病院に行ってもう糖尿だよといわれるのも怖い、そんな気持ちで過ごされている方も多いのではないでしょうか。実は最近この境界型が注目されています。
さて、糖尿病ならともかく境界型くらいで何か身体に支障があるのでしょうか。実は5,6年前までは糖尿病の専門家でさえあまり問題にしていませんでした。その頃なら境界型であっても「まだ糖尿病になっていませんよ。よかったですね」などと言われていたことでしょう。しかし、最近事情が大きく変わってきました。この境界型の人を医学的に追跡調査した結果、意外なことが分かってきたのです。
まず第一に、数年後に糖尿病に進んでしまう人が予想外に多いという点です。ご存知のように糖尿病に一度なってしまえば治ることは難しい。したがって、境界型になったばかりの時期こそが糖尿病を予防するに一番適しているのです。
第二点はもっと深刻で、この境界型の方は心筋梗塞や脳卒中を起こす頻度が大変高いということです。動脈硬化が進み血液が詰まり易い状態になっているからです。どちらも前触れなく突然起きることが多い病気で、心筋梗塞は急死につながり、脳卒中は助かっても半身不随の後遺症を残します。こうなると検査で境界型だった方にとてもよかったねとは言えませんね。
糖尿病の人は40歳以上の10%ですが、境界型の人は20%いるといわれていますから、かなりの数です。しかも最近は20歳台30歳台の方にも増えてきており、急に太ったとか親が糖尿だなどという方は若くても危ないですよ。また、年齢とともに数が増えますから70過ぎの方ならたとえ痩せていても安心は出来ません。
では、糖尿病や境界型になっていないかはっきりさせるにはどうしたらよいのでしょうか。実はブドウ糖負荷試験という採血だけの簡単な検査を行えば一発で分かります。気になる方は是非この検査を受けてみましょう。たとえブドウ糖負荷試験で境界型でもがっかりすることはありません。半年位でまったく正常になる方もたくさんいますからまだまだ治ります。まさに予防を開始するのに最適のときですが、初めから厳しい食事療法などからスタートしても大抵は続きません。わたしは、まず1日20分程度のウォーキングから始めることを薦めています。なぜなら最新の中国での研究で食事療法より運動療法のほうが糖尿病予防効果が高いことが証明されているからです。食事ももちろん大切ですがそれほど厳密でなく、酒の量や間食をすこし減らすだけでも効果は十分あります。
一方痩せたいと真剣に考えている方なら、栄養士さんにについて本格的ダイエットを始めるのもいいでしょう。
最後に、境界型の方には1ヵ月か2ヵ月に1度程度でよいですから血糖値やコレステロールなどの検査を是非定期的に受けて欲しいと思います。すこし頑張って血糖値が下がってきたことを確認できるとやる気が起こるものです。また効果を確認するだけでなくダイエットなどで体のバランスを崩していないかチェックすることも大切です。ときどき、頑張りすぎて電解質という血液の塩気の成分に異常をきたす人もいますから注意が必要です。糖尿病予防のため上手に病院を利用して欲しいものです。
投稿者 ageclinic : 2005年01月18日 22:48