« カルシウム摂取のポイントはビタミンDとK —糖尿病に多い骨粗しょう症− | メイン | 「あなたの健康にビタミン剤を上手に活用しましょう」 »
2005年01月18日
「転んじゃ駄目よ」 −100歳の現役銀座ママが教える“健康長寿法”
「寿命で日本は世界一を維持」と先日の新聞にありました。世界一は大変結構なことですが、平均寿命が81.4歳なのに対し、これから障害や寝たきりの期間を引いた「健康寿命」では73.6歳に大きく下がってしまうそうです。つまりその差の約8年は家族を煩わせて生きるということになるのかと思うとちょっと気が重くなります。大切なのはただ長生きするのではなく健康寿命を延ばすことです。では百まで生き、わずか3日の入院で死ぬにはどうしたらよいのでしょうか。些細なことですが私は骨折を防ぐことがとても大切だと思います。若いあなたなら笑ってしまうかもしれませんが本当に恐ろしいことなのですよ。
100歳で現役の銀座のママを続けている有馬秀子さんというかたがいらっしゃいます。一人暮らしで身の回りのことはすべて自分で行い、しかも銀座のクラブで毎晩12時過ぎまで働いているなんて信じられますか。
この方が書いた「今宵も、ひたすら一生けんめい」という本の中で、私が特に印象に残ったのは、「転んじゃ駄目よ、転んじゃ駄目よ」といつも一歩を踏み出すごとに自分に言い聞かせているというくだりです。彼女が一番気をつけているのが骨折なのです。医者としてこの考えはとても素晴らしいといえます。ほんのわずかなつまずきから恐ろしいことが起きるからです。
まず年をとるとほんのちょっとのことで太ももなどの太くて丈夫なはずの骨が折れてしまいます。また反射神経が低下しているので転んで直接顔面を打つこともままあります。軽いときでも真っ黒な大きいあざが顔中に出来てしまいますし、顔の骨は弱いので運がわれければ広範囲の顔面骨折となります。大きな骨折はどうしても入院が必要ですが、恐ろしいのはこの入院のケースです。今までどんなに元気だったお年寄りでも、いったん入院するとたちどころに筋力が低下し、すぐに歩けなくなるものです。
20歳代の若い人でさえ1ヶ月骨折で入院すると、筋力低下を取り戻すのに3ヶ月が必要です。なぜなら筋肉は毎日使っていなければすぐに萎縮してしまうからです。また運動低下は脳の活動低下につながります。運動がゼロになると脳への血の循環が悪くなり機能低下が始まりまるからです。つまり恐ろしいボケが始まるのです。加えて看護士さんや付き添いの方の手厚い介護を受けることになり、いままで身の回りのことを自分で行い緊張感を持って生きてきた生活がすっかり変わってします。つまり頭を使う必要がなくなるのです。
よく病院に入ったとたん、きれいにお化粧をして身だしなみにも気をつけていた人が、別人のようにだらしなくなってしまうのを経験します。男性の方なら、すっかりひげが伸びてしまい髪には櫛目もなくなってしまう人が多いのです。普段の社会生活から突然離れてしまうことがボケを大きく加速するのです。こうなると、どうしても入院が長引き、悪循環を繰り返し最後は全くの痴呆状態になってしまった悲惨な例をたくさん見てきました。しかもきっかけはちょっとした不注意による転倒なのです。
残念ながら私たちは、自分で死ぬ歳を決めることはできません。しかも今は毎年1000人以上の方が100歳を迎える時代ですから運がいいか悪いかは別にして長い生きすることも考えていかなければなりません。長生きするなら、一時期もてはやされた金さん銀さんではなく有馬さんのように行きたいものです。
生涯現役で生きるのなら「転んじゃだめ」ですね。
投稿者 ageclinic : 2005年01月18日 22:55