2005年02月27日
血液検査の見方
検査結果の見方
血液検査
尿酸(UA):7.0以上になると高尿酸血症です。特にビールは要注意! 焼酎やウイスキーのなんと300倍もプリン体(これが尿酸値を上げる原因です)が含まれていますよ。治療しないでいると足の親指の付け根に激痛が起こる「痛風」になったり、腎臓が悪くなります。食生活を見直す(ビールと肉を減らす)だけで正常値に戻りやすいのも特徴です。
尿素窒素(BUN):腎機能のチェツクになります。胃や腸に出血があるときも上昇します。
クレアチニン(Cr):尿素窒素と同じように腎機能のチェックになりますが、こちらの検査を重視しています。蛋白質をたくさん食べたときや筋肉量の多い人は少し高い値がでます。
総コリステロール(T-cho):食事の前後でも意外と数値が変動しません。高くても低くても、良くありません。数値が高いと血管にこれが溜まり(=動脈硬化症)、脳梗塞や心筋梗塞などの心配があります。反対に、低すぎると、免疫力が落ちていて風邪をひきやすくなったり、ストレスにも弱くなりがちです。
中性脂肪:糖質(甘いものやご飯、パンなど)やお酒を取りすぎると体の中で、この中性脂肪に変化し脂肪として蓄えられます(ですから肥満のバロメーターでもあります)。また糖尿病の方も高くなりやすいく、血液ドロドロとは、まさにこの値が高い状態です。甘いものやアルコールを取りすぎると、すぐにビュ-ンとあがってしまいます。
HDL-コリステロール:善玉コリステロールで低い値が良くありません。心筋梗塞や脳卒中の危険があります。逆に高い値の人は長寿だと言われていますが?
GOT:肝臓の働きが良くわかる検査です。アルコール性肝障害のほか薬の副作用(肝障害)や心筋梗塞でも高くなります。アルコール性では早めの検査でこじらさなければ、大抵はすぐに良くなります。
GPT:肝臓病の時にのみ異常値になります。特に糖質の取りすぎで肝臓に中性脂肪がたまったとき(=脂肪肝)にも高くなります。早めのダイエットで低下させましょう。またアルコール性肝炎も容易に見つけることができます。
γ―GTP: ガンマと呼ばれ、お酒の飲みすぎ度がハッキリわかります。300を超えたら禁酒が必要ですね。
グルコース:意外と知られていませんが、血糖値のことです。200を超えたら、まぎれもなく糖尿病です。糖尿病は予防できます。危ない人(親が糖尿、太っている人)は専門医に相談しましょう。
インスリン: 血糖値を下げる大事なホルモンで、糖尿病の方には大事な値です。正常値は食事を取る前だと10くらい(3~18)ですが、食後30分にビューンと60位まで増えます。糖尿病が軽いうち(または予備軍)はインスリンの値がむしろ高いのですが、糖尿病がこじれると(悪化すると)インスリンが出なくなって(=低下)しまいます。インスリンが出ているうちに治療を受けることが大切です。
尿検査
蛋白(尿):腎臓に負担がかかると尿に蛋白がでます。糖尿病の方には合併症(腎症)にかかってはいないかどうかを見極めるとても重要な検査です。
尿糖(尿):血糖値が180以上になると尿に糖が出ます。実は尿に糖が出るか方のほとんどはすでに予備軍である可能性が大変高いので必ず精密検査(糖負荷試験)を受けましょう。
PH(尿):酸性、アルカリ性を調べます。痛風が気になる方は、できればアルカリ性にしたいですね。
ケトン(尿):糖尿病の方で、血糖値がとても高く、体が消耗した状態のときに陽性になります。糖尿病悪化の重要なサインで、これが+だと要注意ですね。
潜血(尿):血が混じっているかどうかを見る検査です。腎臓や膀胱に病気があると陽性(+)になります。
その他の検査
BMI(Body Mass Index ボディマスインデックス):太っているかどうかを精確に判定出来ます。 体重(Kg)÷{身長(m)×身長(m)}で計算します。25以上は医学的に肥満です。35以上ならエステではなく専門医でのダイエットが必要ですね。
〒104-0061 東京都中央区銀座1-4-3-5F
AGE(エー・ジー・イー)内科クリニック
牧田 善二
Tel:: 03-3538-4001 URL http:www.ageclinic.com
投稿者 ageclinic : 14:08 | コメント (0)
2005年02月17日
ハーバード大学医学部での医学教育改革
2001年5月に現在最も進んだ医学教育改革を断行しているハーバード大学医学部を
1週間に渡って見学する機会がありました。
まず驚いたのは教育改革は医学部出身者ではなく
教育学部出身の専門家集団が行っているということです。
さまざまな教育関係者に次々と会い、学生の意見を聞き、授業に参加し、
まさに目の回る忙しさと驚きの1週間でした。
まず最初に担当のエリザベス・シルベスターさんにお会いしました。
「医学部と言えども本当の教育改革をするなら医者じゃなく私たちの力が絶対必要。
だって私たちはその道のプロですから」と力強くおっしゃっていました。
その言葉の裏には「医学部教授になんかに任せていたら医学教育なんか良くなりませんよ」という
強力なメッセージが込められているようです。 かなり日本とは趣きが違います。
確かにそうかな? 既成の枠内からの自主改革は難しいのかな?
私の最低限の希望は、
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1.学生と直接会って改革の感想を聞きたい。
2.授業に参加したい。
3.臨床教育をする教官の話を聞きたい。
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という3点でしたがすべてOKで手配してくれました。
3日間びっちり見学することが出来ました。
改革のポイントは
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1.臨床教育(患者を診る力をつける)を重視した。
2.講堂で座って聞く従来の講義をほとんど廃止した。
3.1、2年目は小グループで自主学習スタイルで行う(教官はアドバイスをするだけ)。
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(理由)
内科学や外科学などの進歩は著しいため実技まで含めて覚えなければならないことがとても多い。
そのため基礎系(解剖学、生化学、生理学など)の側の猛反発があったが改革は絶対必要という信念の基に断行。
・解剖学、生理学などの従来の基礎医学の講義は廃止し、
臨床病理学などの共通テキストをもとに臨床に関係するテーマについてグループ内で自主学習する。
・講義は最低限のみに限定し、基本的には廃止。
・臨床重視。自分で考え問題解決できる優れた臨床医作りが目標。つまり
・ 「教える」から「自分で学ぶ」への変換。

医学部校舎の内は大理石のとても豪華(?)。上の写真の方は学内を案内し、
やさしくカリキュラムを説明てくれた教育担当の方です(名前はシークレット?)。

教育改革の中心的役割を果たしている教育担当教官です
(PhDという最高の教育博士の資格を持った方でいまも改革を断行中)。
新しい医学教育の方向性についてとても熱く語ってくれました。
その最大のポイントは「MD(医者に)に任せちゃだめ!」です。

この椅子に腰掛けた貫禄十分の方(?)は何と医学部1年生です。
言葉は悪いですが、ちょっと学生にしてはひねてますよね。
「この人が医学生、何でも聞いてください」と紹介されたときはびっくりしました。
それもそのはず、実は海兵隊に入隊し、そこからハーバード大医学部に応募してパスしたんだそうです。
学費も海兵から支給されているので、自己負担はないそうです。
「ベンチにすわりっぱなしの退屈な講義が無くなって、学生は皆喜んでるよ」。
「誰だって退屈な講義より自主学習の方を選ぶと思うね」と語ってくれました。
いい医者になるにはいろいろな人生経験が大切だとこの国では考えられています。
つまり、医学生の選抜自体が日本と全く違っているようですね。
アメリカの医学部では頭が良いだけでなく、やる気があり
医者に向いている人を採ると聞いてはいましたがここまでとは!
間違いなく、彼は日本には絶対に居ないタイプの医学生です。
日本の医学部入試の不正・裏金事件を思い出ました。
ひょっとしたら、教育改革の前にまず入試改革がこの国では必要なのかも知れませんね?!
つまり良い学生が入ればいい自然に医者も育つ?

何とこれが授業風景です。「今日は天気が良いので、
2グループ合同で屋外でディスカッションしましょう」
という担当教官の一声で中庭に出ました。
上の左から2人目のスキンヘッドの方ももちろん学生さんですよ!
ちなみに左端の金髪の女性の方が教官です(産婦人科医)。
この国では学生と教官の区別がとても難しい?!

1年生の小グループ自主学習(7−8人)の授業開始直前の様子です。学生を良く見て下さい。
ここの学生はアジア系2人、黒人1人、白人4人とちゃんと人種のバランスまで考えて
入学させていることが分かります。このあと担当教官が1人加わりっ授業開始。
担当学生が発表し、他がどんどん質問して行きます
(PBL=プロブレム・ベースト・ラーニングという学習方法を取り入れています)。
とても明るく元気に授業が進行して行きますが、その内容は結構ハイレベルなのです。

こちらはもう少し上の学年(3年生?)の学習風景です。
胸のレントゲン写真やCT写真から診断名をつけるトレーニング。つまり実戦訓練ですね。

立派な大理石の医学部校舎(正面)です。さすがハーバード大学!!
校舎はコ字型に配置され真ん中に広い芝生があります。

内分泌・代謝学を教えているユーティガー教授です。
かわいいネクタイを見るとなんだか小児医のようですね。実際とても気さくでやさしい先生です。
偶然ですが、実は私のAGE研究がニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンという雑誌に載ったとき
審査をしてくれた先生でもありました。このときの私の研究をとても褒めてくれました。
別の教官(ハーバード卒)からは「ここの学生はやる気があって入学して来たやすばかりさ。
講義なんかやめて2,3年目から実地の医療をどんどん経験させ、
患者さんを診る力をつけさせるのが一番さ」との話を聞きました。
<おわりに>
私が感じたことは「日本ではさっぱり改革が進まないうちに、こちらではどんどん改革が進んでいるな。
かなり遅れをとってしまったな」という点でした。
まず、講義中心を廃し、自分で学ぶトレーニングと臨床実地訓練の充実が必要と感じました。
アメリカやヨーロッパの医学教育を実地見学し、
教育制度もさることながらむしろ医学生の質の差を強く感じました。
とくに日本は大学間でかなりの学生の質に差があるのが現実。
つい最近も入試にまつわる裏金問題が新聞をにぎわわせましたよね。
実のところ医師になるのは止めたほうがいいのではないかと思われる程、向いていない者、全くやる気のない者も沢山いるのが現実です。せっかく医学部に入ったのだから卒業させて上げようという大学側の(または親の)温情(?)は返ってあだで、むしろ向かない人は方向転換を図ってもらったほうが社会的にもまた本人のためにも良いのではとつくづく思います。しかも、理想の医学実現のためでなく、国家試験対策が教育改革の目標になっているのは残念な現実です。
投稿者 ageclinic : 18:48
2005年01月18日
忘れえぬ患者さん −今も忘れられない言葉−
その患者Aさんは私が医師になって始めて看取った方で、52歳とは思えない若さに満ち溢れた女性でした。いろいろなシーンが今でもまざまざと思い出されるのですが、特に医師に対する大きな期待というものを骨身に沁みるほど教えてくれた方でもありました。
昭和54年3月に北海道大学を卒業して、短い研修を終えたころはすでに冷たい秋風が吹きすさぶ季節になっていました、札幌郊外の病院に出張が決まったときは新天地での生活に心の高揚感を抑えられませんでした。しかも若い医師にとっては地方病院でこそが、一人前の医者としての腕を磨く最大の機会でも有ます。しかも、そのときは生涯忘れられない貴重な体験をするとは夢にも思いませんでした。
赴任翌朝、さっそく前任医師からの引継ぎを受けます。胃潰瘍や肝炎などのありふれた病気の方々の説明を手短に済ますと、一呼吸置き、「最後に1人多発性骨髄腫と思われる患者さんがいるのだ」と厳粛な声で言われました。「この血液のデータと尿の蛋白のパターンから言って、まず間違いない」とキッパリ言った後、ベッドサイドに足を運び紹介してくれました。
まさにその日から、Aさんのことが私の心を大きく占めることになりました。次第に回診が難しくなりました。堪らなく気が重く、出来ればその病室は避けて通りたいほどなのですがそうは行きません。骨髄腫は悪性の血液の癌で、根本的に治す治療法がないため、どうしても日々悪化してしまいます。しかも、全身の骨が犯され体中に耐えがたい痛みが起きます。当時は、癌であること決して告げることはしません。家族からも癌と悟られないよう最大限の努力を頼まれています。本当の病気がいえないためどうしても「では検査してみましょう」とか「このお薬ならきっと楽になりますよ」などとその場しのぎの言い訳を食い返すことになってしまいす。穏やかだったAさんも次第に不満顔になってゆきます。そしてとうとうある日、その恨みは爆発し「先生にかかっていたら悪くなる一方です。とにかくこの痛み、早く何とかしてください」胸の辺りをさすってびっくりするような大声で怒鳴りだしました。そのときはベテランの先生に来てもらい、何とか取り繕ってもらいました。実はがんが進行して骨折までおこしているための痛みです。「痛みは簡単にはよくならない。ああ明日はどうあの患者さまに言い訳をしたらいいのだろう」とすっかり困り果てていました。しかし、次の日、重い気持ちで回診に行くと、どういうわけか昨日とは打って変わって穏やかな様子です。なにが起こったのかと驚くほどにわたしの下手なうそに黙って肯くのです。そして最後に、ゆっくりと諭すような口調で「牧田先生いつも有難う。これからも一生懸命勉強していいお医者さんになってくださいね」と言ってくれました。わたしはスーッと気が楽になりましたが、後で考えてみるともう自分はもう直ることのない病気であることをはっきりと悟っていたのでしょう。その日を境に、病気は急速に進行し数日後からは意識朦朧の状態になってしまいました。1週間ほど過ぎたある夕方,Aさんは苦しむこともなく潮が引くように呼吸が停止しました。心臓マッサージをしている間はわたしばかりでなく、詰所の看護婦さんたち全員が大粒の涙を浮かべていました。自宅に帰ってから「一生懸命勉強して」という言葉が蘇ってきました。その響きは決して未熟なわたしに対する恨みではなく、私への感謝と強い願いだったそのとき確信しました。
時が過ぎ、仕事に慣れて当たり前の繰り返しになるたびにAさんの声が聞こえてきました。あれから早くも23年の月日が流れました。私もベテランの医師になり、専門医療には誰にも負けないという自信持つことが出来ました。あの励ましの言葉はこれからも私の人生を照らしてくれることでしょう。
投稿者 ageclinic : 22:59
「夏場の健康管理、3つのアドバイス」
暑い毎日が続くとどうしても体が弱ります。この時期の健康管理はお年寄りの方ばかりでなく若い方にとっても難しい問題と思います。最近注目されている夏に起こり易い病気とその対策をお教えします。ポイントは塩分補給を忘れないこと、清涼飲料水の取りすぎに注意することです。
最近天気予報などで「今日はかなりの高温が予想されるので熱中症に気をつけてください」という言葉を耳にします。聞きなれない病気と感じる方も多いとおもいますが、熱けいれん、日射病、熱射病など高温によって起きる病気すべてをふくめて熱中症と呼んでいます。したがって、症状もめまい、吐き気などの軽いものから意識不明状態までさまざまです。夏に最も注意しなければならない病気で、できるだけ軽いうちに予防しましょう。
ここで覚えて欲しいことはひどい汗をかいたときは水分補給だけでなく、塩分補給が必要ということです。生きてゆくためには塩がとても大事なのですが、汗をかくと水分とともに塩分も出て行ってしまいます。水だけ飲んで塩補給をおこたると筋肉内に疲労物質がたまり痙攣や腹痛、嘔吐が起きてくることが知られています。熱けいれんと呼ばれており熱中症の中でももっとも軽症の状態です。たとえばスポーツドリンクですがこれには意外と食塩含有量が少なく効果は期待できません。やはり一番の治療は塩水を飲むことです。わたしの工夫はスイカに塩を振って食べることです。これだと美味しく、また水分、塩分、ミネラルのバランスがとれた予防ができます。
夏場の第二の注意は、清涼飲料水の飲みすぎに気をつけることです。飲みすぎは恐ろしい病気の原因になることが知られています。「清涼飲料水ケトーシス」とか「ペットボトル症候群」などの名前がつけられていますが、その特徴は10代から30代の若い男性に多いことと、突然に入院してインスリン治療が必要なほどのひどい糖尿病におちいることです。夏の暑いときに冷えたコーラやジュースは堪らなくおいしいものです。しかし、これに含まれる多量の糖分によりさらにのどが渇くという恐ろしい悪循環に陥ります。あっという間に、1リッター以上のジュースを飲んでしまう人、習慣化し絶えず飲んでいないといられないとういう状態になってしまいます。コーラの飲みすぎから突然、糖尿病になり突然意識の状態で入院した15歳の高校生の例を経験し、わたしもその恐ろしさを実感しました。
最後は、ビタミン類やミネラルをたっぷり取ることです。とくに免疫能を高めるビタミンCやエネルギー代謝に関与するビタミンB群の摂取は重要です。ジャガイモやにんじんなどの根菜はカロリーが多いのでむしろ葉っぱものの野菜や果物を毎日たっぷり取りましょう。もし十分に取れないならビタミン剤を飲まれたらよいでしょう。
この時期お孫さんやお子さんはコーラやジュースなどを欲しがるものだと思いますが、次代を担う者の健康のためにダメと言う勇気を持ってください。
投稿者 ageclinic : 22:58
タバコは止めましょう −止めたいと思っている方へ−
お恥ずかしい話ですが、私は1年半前までタバコを吸っていました。普段は毎日20本、お酒を飲んだときなどは、夜だけであっという間に2箱近く行き二日酔いよりタバコの吸いすぎで翌朝は最悪の寝覚めでしたが、それでも止めることは出来ませんでした。つまり医者の不養生を地で行く生活を送っていたのです。
ところが、5年ほど前から宴会が続くと必ず目が真っ赤に内出血するようになりました。長年のタバコの害で血管が脆くなって来たため、お酒による血管拡張作用で簡単に出血してしまうのです。同じことが脳の血管に起きると脳卒中ですから、そうなると仕事すら出来なくなると思い本気で止めたいと願うようになりました。しかし「タバコを止めるのは簡単さ。なんたって俺はもう30回も止めたことがあるからね」なんていうジョークがあるほど、禁煙は継続が難しいものです。こんな私は止められたのは決して人より意志の力が強かったわけではなく、ちょっとした工夫と意地があったからです。
私が止めるきっかけになったのはアメリカ出張でした。いい機会だとタバコを持たないで14時間のフライトに臨みました。ホテルでは思い切って禁煙ルームを頼みました。この国でドクターは決してタバコは吸わないのですからホテルマンも当然と言った顔つきです。2日目からは食べた後など無性に吸いたくなりましたが、ガムを咬んだりして頑張りました。吸えない環境をつくり、つらい状態に自らを追い込んで禁煙に成功したのです。ヘビースモーカーだった私の体験から10か条をお話しましょう。
(私の禁煙十カ条)
1. タバコ、マッチをきっぱりと捨てて、気に入っていたライターはすべて友人や後輩に譲りましょう。タバコ好きはその味よりむしろ火をつける動作自体が習慣化しているからです。
2. 「禁煙」などと書きテレビの横など目に付くところ貼りましょう。とにかく気合が大事です。
3. 禁煙は友人、知人と一緒に固い決意を誓い合って始めましょう。お互いに競争心が湧いて効果的です。
4. 薬局に行ってニコチンパッチとニコチンガムを両方手に入れましょう。吸いたくなる気持ちを抑えてくれます。意志の強さだけでは成功しませんから。暇になって吸いたくなったらすぐニコチンガムをポンと口に入れてください。時々休みながら15分くらい時間をかけて咬むのがこつですよ。
5. 宴会の日は最大の危機。ニコチンパッチを貼って出かけましょう。こちらは長時間、吸いたくなる気持ちを抑えてくれます。完璧を期すために、ポケットにはガムも忘れずに入れて出かけましょう
6. 周りの人が吸っても「貰いタバコ」は絶対しない。お一ついかがですなどといいそうなヘビースモーカーの横には決して座らないことですね。
7. 酒を飲むときは、つまみを工夫しましょう。一服吸う代わりにつまみを一口です。やはりダイエットも同時に考えたいものですね。冷奴や枝豆、煮豆、もずく酢、がめ煮などがいいでしょう。するめなんかをゆっくり咬むのも悪くありません。
8. 仮に1本吸ってしまったからといって、いままでの努力を捨ててしまうことはありませんよ。完璧主義を辞めれば、最後は必ず私と同じように完全に止めることができますよ。
9. 夕食後はとにかく吸いたくなりますね。お土地柄、食べたら早速、風情のある温泉に行ったり、ちょっと大事な庭の手入れをしたりしましょう。タバコを吸うことなんかよりもっともっとあなたの人生に有意義なことが沢山あるはずですから。
10. 最後に、奥さんや子供たちのいうことにも耳を貸しましょう。みんなあなたの吸った煙で非常に迷惑していることをお忘れなく。止めればみんながハッピーになれますよ。
投稿者 ageclinic : 22:57
「転んじゃ駄目よ」 −100歳の現役銀座ママが教える“健康長寿法”
「寿命で日本は世界一を維持」と先日の新聞にありました。世界一は大変結構なことですが、平均寿命が81.4歳なのに対し、これから障害や寝たきりの期間を引いた「健康寿命」では73.6歳に大きく下がってしまうそうです。つまりその差の約8年は家族を煩わせて生きるということになるのかと思うとちょっと気が重くなります。大切なのはただ長生きするのではなく健康寿命を延ばすことです。では百まで生き、わずか3日の入院で死ぬにはどうしたらよいのでしょうか。些細なことですが私は骨折を防ぐことがとても大切だと思います。若いあなたなら笑ってしまうかもしれませんが本当に恐ろしいことなのですよ。
100歳で現役の銀座のママを続けている有馬秀子さんというかたがいらっしゃいます。一人暮らしで身の回りのことはすべて自分で行い、しかも銀座のクラブで毎晩12時過ぎまで働いているなんて信じられますか。
この方が書いた「今宵も、ひたすら一生けんめい」という本の中で、私が特に印象に残ったのは、「転んじゃ駄目よ、転んじゃ駄目よ」といつも一歩を踏み出すごとに自分に言い聞かせているというくだりです。彼女が一番気をつけているのが骨折なのです。医者としてこの考えはとても素晴らしいといえます。ほんのわずかなつまずきから恐ろしいことが起きるからです。
まず年をとるとほんのちょっとのことで太ももなどの太くて丈夫なはずの骨が折れてしまいます。また反射神経が低下しているので転んで直接顔面を打つこともままあります。軽いときでも真っ黒な大きいあざが顔中に出来てしまいますし、顔の骨は弱いので運がわれければ広範囲の顔面骨折となります。大きな骨折はどうしても入院が必要ですが、恐ろしいのはこの入院のケースです。今までどんなに元気だったお年寄りでも、いったん入院するとたちどころに筋力が低下し、すぐに歩けなくなるものです。
20歳代の若い人でさえ1ヶ月骨折で入院すると、筋力低下を取り戻すのに3ヶ月が必要です。なぜなら筋肉は毎日使っていなければすぐに萎縮してしまうからです。また運動低下は脳の活動低下につながります。運動がゼロになると脳への血の循環が悪くなり機能低下が始まりまるからです。つまり恐ろしいボケが始まるのです。加えて看護士さんや付き添いの方の手厚い介護を受けることになり、いままで身の回りのことを自分で行い緊張感を持って生きてきた生活がすっかり変わってします。つまり頭を使う必要がなくなるのです。
よく病院に入ったとたん、きれいにお化粧をして身だしなみにも気をつけていた人が、別人のようにだらしなくなってしまうのを経験します。男性の方なら、すっかりひげが伸びてしまい髪には櫛目もなくなってしまう人が多いのです。普段の社会生活から突然離れてしまうことがボケを大きく加速するのです。こうなると、どうしても入院が長引き、悪循環を繰り返し最後は全くの痴呆状態になってしまった悲惨な例をたくさん見てきました。しかもきっかけはちょっとした不注意による転倒なのです。
残念ながら私たちは、自分で死ぬ歳を決めることはできません。しかも今は毎年1000人以上の方が100歳を迎える時代ですから運がいいか悪いかは別にして長い生きすることも考えていかなければなりません。長生きするなら、一時期もてはやされた金さん銀さんではなく有馬さんのように行きたいものです。
生涯現役で生きるのなら「転んじゃだめ」ですね。
投稿者 ageclinic : 22:55
カルシウム摂取のポイントはビタミンDとK —糖尿病に多い骨粗しょう症−
腰の大きく曲がったおばあさんが最近は少なくなったと思いませんか。予防や治療が進んできたからです。若さを保つことは誰しもが願うことですが、とくに年寄り臭く見られるのはやはり外見。今日は、腰曲がりの原因となる骨粗しょう症予防についてお話しましょう。
骨の老化はすでに45歳から始まっています。とくに骨粗しょう症は女性に多いのですが、生理が終わったあとの女性ホルモンの低下が原因です。また糖尿病の患者さんにはこの病気が多いことが知られており、とくに注意が必要です。この病気かかると、背骨が骨折し背中や腰が前に大きく曲がってしまいます。さらに足や手も簡単に折れるようになり、1人で何でも出来た方が、その後介護が必要な状態になったり、ひどい場合は寝たきり状態になる方おります。
是非予防したいものですが、まずその第1歩は自分の骨の状態を把握することです。とにかく45歳を過ぎたら必ず自分の骨の検査をしてください。いまでは、骨が薄くなってきているかどうかすぐに、なんの苦痛もなく検査することが出来ます。保険が効くので検査料も1000円以下です。
日常行う予防で大切なのは食事、運動、日光浴の3つですが、なんと言っても食事からのカルシウム補給が重要です。このことは皆さんすでにご存知で小魚や牛乳を取るよう気をつけている方も多いと思います。人間の体にはなんと1kgものカルシウムがあり、これを絶えず食事などで補う必要があります。毎日、しかも朝、昼、夜欠かさず補給が必要なのです。例えば、毎朝、牛乳を飲んでいると安心している方がありますが、意外と寝ている間にカルシウム欠乏が起こります。そのためわたしは、夕食後にも牛乳を飲むように勧めています。
ここで注意が必要なのは同時にビタミンDを取る必要があるということです。実はいくら沢山カルシウムを取ってもこのビタミンがないとからだに取り込めないのですべて無駄になってしまいます。しいたけ、卵やサバ、イワシ、カツオなどの魚に多く含まれているので、骨を強くしたい方は多めに摂ってください。また、このビタミンは日光浴による紫外線により皮膚で作られます。このため日光浴が大切といわれているのです。しかし、最近は紫外線の害が叫ばれているので、わたしはむしろ紫外線は避けて、病院で処方してもらうかビタミンD剤を買って補給するほうを勧めています。
もうひとつ、意外と知られていないのがビタミンKの重要性です。これにはカルシウムを骨にくっつける大切な働きを持っており、納豆に多く含まれています。このために「納豆は骨に効く」とよくいわれています。これがが嫌いな方は、ほうれん草などの青菜から摂ってください。
いくら長生きしても、寝たきりでは詰まりません。腰や背筋のしゃきっとした若々しい姿で老後を迎えたいものです。ボケてしまった頭も一度曲がってしまった腰ももう元にはもどりません。予防しかないわけですが、それにはやはり毎日毎日の健康管理の積み重ねです。
投稿者 ageclinic : 22:54
お酒との付き合い方 −薄めて、じっくり、ちびちびと−
暑さにビール一辺倒だった私も、このごろは旨い肴と焼酎をじっくり飲みたい気持ちになってきました。秋は美味しいものがそろい、酒飲みにはたまらない季節ですね。そこで今回は、アルコールと病気についてお話しましょう。
まず、肝障害。一体どのくらい飲むと肝臓を壊すのかははっきりと医学的に分かっています。日本酒だと1日3合、これを5年以上続けて飲まなければ障害は出ません。つまり、かなりの大酒のみでなければ大丈夫ということになりますが、ちょっと例外があります。女性と体質的にお酒の弱い人は、上の数字より少ない量でも肝臓がやられます。つまり「お酒は弱かったが練習してかなり飲めるように成った」などという人は危ないのです。
昔は、病気の進行に気が付かず、肝硬変になり大量に吐血してから驚いて病院に来る方が多くいました。実は簡単な血液検査で肝臓が悪いかどうかだけでなく、飲みすぎかどうかまでもぴたりと分かりますから、是非定期に調べてください。
最近は、アルコールに関係する病気として「痛風」がすごい勢いで増えています。中年男性に多く、血液中の尿酸値が上がり、足の親指などに強い痛みが突然おこるという病気です。今では健診を受けた成人男性の実に4人に1人が基準値をオーバーしています。重要な原因のひとつが、ビールの飲みすぎです。痛風を起こす物質が特別多く含まれているからです。風呂上りにクィーと飲み干すビールの味は格別ですが痛風の発作は耐えがたく痛いものです。ご用心ご用心。
さらにアルコールはダイエットの敵でもあります。たとえばダイエットが必要な糖尿病患者さんは、出来れば禁酒、無理なら量は160(キロ)カロリーまでです。この量はビールなら缶1本(350cc)、焼酎なら1/2合、ワインなら200cc、ウイスキーなら60ccに当たります。たとえば、油断してビールを宴会で5缶飲んだとします。これは800カロリーに当たり、ご飯だったら実に5杯分にあたります。しかも、以外に思われるかもしれませんが、アルコールは体内で脂肪(主に中性脂肪)に変わります。脂を増やすなんて、やはりダイエットの敵ですね。
いろいろ飲酒の悪い面ばかりを述べてきましたが、もちろん、良いことも沢山あります。とくに最近の研究では、アルコールには皮膚や血管の老化を抑える働きを有することが分かってきています。皮膚などを形作るコラーゲンへの老化物質沈着を防ぎ、若々しい肌を維持する効果があるのです。また糖尿病の患者さんにおこる目や腎臓の合併症は、ブドウ糖がそこに貯まってくるから起きるのですが、アルコールはこれを防いでくれます。恐ろしい合併症を予防する効果があるなら糖尿病の方の飲酒も、まんざら悪いことばかりとは言えません。ただ、糖尿病の薬の中には、飲酒で副作用が強くでることがあるので担当医とよく相談してください。
要は、度を越さない自制心ですね。たとえば休肝日を取れなくなり、必ず量が増えてくるので寝酒の習慣は良くありません。また宴会では、思い切って「ダイエット中で飲酒は控えている」とはっきり宣言したほうがスマートです。また夏は仕方がないとしてもビールなどアルコール度数の低いものはピッチも上がり、ゆっくり呑むことは難しいものです。しかも年中ビールだと痛風の危険があるわけです。したがって、焼酎やウイスキーなどを出来るだけ薄めて飲むのがいいでしょう。
わたしのワンポイントアドバイスは、濃い酒を「薄めて、じっくり、ちびちび」飲むことです。秋の夜長、中秋の名月を肴に、飲める幸せを感謝しでゆったりとした気持ちで酒を楽しんでください。
投稿者 ageclinic : 22:52